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波動の数式表現

波動の数式表現

波動の数式表現

 

ここでは波動の数式について考える.

波動は時間に変動するので、振幅の瞬時値で表現できる.

波動には進行伝播の性質があるので、進行波の瞬時値が波動を表す事ができる.

 

波動は重ね合せ加法結合の演算ができるので、分割や合成をその数式で表せる.

 

たとえば2種類の光色が同じスクリーンに重なってできた新しい色は波長や振幅のことなる光波を足して表れた歪み波だ.

計算してみよう.

光波には振幅a、初期位相ε、波長λ(または振動数ν、周波数f)の要素がある.

そして伝搬速度Cがある.

まず振動数と周波数の関係について

C/λ=ν=f

の関係がある.

 

ここで角速度ωを導入する.

角速度は振動一回について2πなので

ω=2πν=2πf

という関係がある.

 

また波動発信の原点と観察位置までの距離がxメートルとする.

観察点と光源と距離が離れると位相には遅れ進みがあり時間の遅れ分に換算できる.

x/C

という時間だ.

 

 

進行波の数式は電気理論の進行波の振幅瞬時値ξの表式にある.

 

 

空間内を一定方向に進む波動について振幅が a ,角振動数が ω の正弦波が

x 軸の正方向に進む速さ v=C 、時刻 t秒のとき

x におけるこの進行波の振幅瞬時値ξは次式で表わされる。

 

ξ=a sin {ω(t-x/C)+ε}

 

これをもとに2種類の光波の合計はiが下付小文字の付番の意味で、iを1からnまでの整数として、

n=2の級数から、

 

ξ=Σai sin {ωi(t-x/C)+εi}

 

とたとえば複数nのうち2とした2波による波動から合成すると歪み波ができる.

2波の合成ならばその振幅瞬時値は上記のξとなる.

2波の周波数の近い時、うなりともよばれる.

 

歪み波は正弦波の級数に表せるのでどんな歪み波も上記の式で全てを表せる.

 

またξを二乗すると要素の中に正弦波の二乗が2種と、正弦波2種からの乗積演算が成分になっている.

ここから乗積項だけを抽出すると振幅変調が実現する.

乗積項は振幅変調(Amplitude Modulation 略してAM変調)に用いられる.

 

ξのように正弦波の級数はただ1種類の歪み波を表す事ができる.

逆も言えて、歪み波は正弦波を基底とした級数ではただひとつ級数からあらわされる.

ただ一つに定まるのは級数の基底に使われた正弦関数の直交性から生まれる性質だ.

 

歪み波の合成と分割

 

ところが基底の直交性と無関係な加算減算も波動には可能だ.

だから歪み波は複数の異なる種類の歪み波の合成から作ることもできる.

この時も逆が言えて歪み波を複数m個の異なる種類に分解することもできる.

m個の歪み波をまとめて合成したときの歪み波は上記の方法でできる.

 

それを数式に表すとaをjが下付小文字の付番の意味で、jを1からmまでの整数として、

Ai=Σaij

という級数を用意すれば

ξ=ΣAi sin {ωi(t-x/C)+εi}

となる.

 

ここでAiはm個に分かれてさえいれば大きさを等分する必要はない.

一組となった要素m個の値の合計がAiであれば、めいめい勝手に0からAiまでの範囲からm個を選んでよい.

aijの値は整数に限らず小数で良い.

したがってAiの組のありようは多く、数えると無限にある.

 

このような条件から歪み波を歪み波の加法結合であらわすとき、無限の組み合わせ方法がある.

 

さらにξはiをnまでの間で数組に分割してそれぞれの歪み波に振り分けてよい.

偶数と奇数に分けたり、前半と後半と中間などなど、無限に切り分け方法がある.

 

それぞれの分割は一つの歪み波を表している.

したがって歪み波の加法結合はいろいろな切り分け部分から無限の組み合わせがある.

そんなことから同じ一つの歪み波は複数の歪み波の加算結合に無限の方法で表す事ができる..

 

でもこの基本要素の正弦波は始端と終端のない無限に続く滑らかな波動なのだ.

滑らかな波動はどこの時点でも微分ができる.

 

微分不可能な波動

 

正弦波に始端と終端があったり、滑らかに続かず切れ目があると微分不可能な波動だ..

滑らかな波動はどこの時点でも微分ができる.

しかし微分不可能な波動には比例という線形の性質がない.

 

正弦波は微分可能だが、でも正弦波をもとに微分不可能な波動の場合分けを試みる事ができる.

微分不可能な歪み波の事例を切れ目を意味する単位ステップ関数Us(t)の重ね合せによって振幅瞬時値ξを表現できる.

ステップが変動する時点をg、ステップの大きさをhとして、

ξ=Σai sin {ωi(t-x/C)+εi}+hUs(t-g)

 

ステップ関数を加算項に持つことによって、ξの周波数特性の包絡線には両対数グラフに横軸をω縦軸をyに描くと右肩下がりの直線が描ける.

べきが負の傾きを持った特性なので、1/fゆらぎと関係のある性質だ.

ただし一般的には観察期間にgが含まれている場合が多い.

もしくはgの後の期間に無損失な反射を数度繰り返してεiに反射の度変化を受けた波動にこの冪の性質が表れる.

たとえばトンネル現象の起きた後に続く物質波にそれがあらわれる.

 

 

波動は分類すると多数あるのだが、その正弦波の種類については3つの要素から正弦波を特定できる.

3つの要素とは波長λ、振幅a、位相εだ.

その要素で微分不能とはつぎのようなことだ.

たとえば、ある時点を境に振幅が全く異なるような波動は微分不可能な波動だ.

ある時点を境にまったく周波数が異なるような波動は微分不可能な波動だ.

ある時点を境に位相が全く異なるような波動は微分不可能な波動だ.

 

したがって3つの要素のうち一つ以上の要素が確率的に変動する波動ならば微分不可能な波動だ.

 

コヒーレントとインコヒーレント

 

微分可能な波動が実はコヒーレントな性質を持っている.

コヒーレントな波動では相殺が次の式のように発生する.

 

iが下付小文字の付番の意味で、iを1からnまでの整数として、

ξ=Σ[Ai sin {ωi(t-x/C)+εi}+Ai sin {ωi(t-x/C)+εi+π}]

ξ=0

数式にあきらかなように波動の相殺が対に組み合うので振幅瞬時値ξが0になる.

 

そのとき振幅が0であるため、スクリーンには暗部が生まれ出る.

暗部が生まれ出るにはこの数式のようにコヒーレントな光源が必要だ.

 

 

ところで白色光源は多数の別な波動から構成されている.

白色光源はその成分をある時点においては微分可能な波動の合成とみなすことも可能だ.

ただしほかの時点でもその白色光源が同じ成分であるとは限らない.

 

白色光源は多数の別な波動から構成されている事から、相殺の対がない組み合わせが必ず含まれる.

だから白色光源からは暗線が生じないのだ.

一方でもし相殺の対があると消える光波から白色は白色でなく色づいて見える.

位相の違う光波が集まった白色光源からは明暗縞の間隔はそれぞれの光色でことなるので、色づいた縞模様が見えるはずだ.

白色光源から色の縞が見える事例があるのでリンクをご紹介する.

http://k1-kaneshiro.xsrv.jp/wp-content/uploads/2016/03/2-6%E5%9B%9E%E6%8A%98%E3%83%BB%E5%B9%B2%E6%B8%89.pdf

2.6 回折・干渉 Diffraction and Interference of Light

 

ただし白色光源だとしてもインコヒーレントなら暗線は決して生じないことに大きな注意を払ってほしい.

単色光源でもインコヒーレント光からなら暗線は決して生まれないのだ.

したがって暗線の有無がインコヒーレントかコヒーレントかを判定し区分をわける.

 

結論

単色光源において暗線が観察できた光源はコヒーレントな光源であることが明確になった.

ところがリンクの実験にみるようにフラウンホーファー回折では白色光源または単色光源を用いるが、いずれにしろインコヒーレントな光源しかないのに暗線が生まれている.

そして干渉や回折の現象を見つけた1800年代にはコヒーレントな光源がない.

コヒーレントな光源はルビーレーザが1960年に生まれるまで存在しない.

そのインコヒーレントな光源に暗線や暗部が生じたのだ.

 

したがって見落とし見逃した現象がある.

するとスリットや孔からスクリ-ンまでの光路のどこかにコヒーレント性を作り出した部位を見落としている.インコヒーレントな光源からコヒーレントな光源に変換した現象がある.

 

その現象を推論すると、さらに解析力学の最小作用の原理にまで影響がある.

その話題はまた別の記事に譲る.

続きをご期待ください.